はじめに
昨年2023年re:InventのAWS CEOキーノート締めくくりでAmazon衛星インターネットサービス「Project Kuiper」が発表され、私は大きなインパクトをうけ注目していました。
https://www.seeds-std.co.jp/blog/24gk/e601ee41-a1ab-491f-aae1-48368803a7dc/#Project Kuiper(カイパー)5
今年もキーノートやセッションで新たな発表があるのではと期待していましたが、残念ながらどの場でも触れられることはありませんでした。
そんな中、唯一「chalk talk」形式(ホワイトボードを使い質疑応答を交えながら進行する)のセッションがあったため、参加してきました。
参加したセッション
AWS and Kuiper together: Building applications using satellite connectivity
訳:AWSとKuiperの連携:衛星接続を活用したアプリケーションの構築
このセッションは、Kuiperの新しい低軌道(LEO)衛星ネットワークがAWSサービスとどのように連携するか、また利用可能な新しいユースケースの種類を説明するホワイトボード形式のセッションです。Kuiperは、ほぼ地球上どこでも高帯域幅で低遅延の接続を提供し、AWSサービス(プライベートネットワーキングやエッジコンピューティングなど)と組み合わせることで多くの新しいユースケースを創出します。このセッションでは、Kuiperの基礎(衛星群、設計、ユーザーターミナル)から、AWSデータレイクやAmazon VPC接続に直接プライベートエンドポイントを統合するなどの高度なアーキテクチャパターンまでを取り上げます。
Project Kuiper 概要
Project Kuiper は、低地球軌道(LEO)に3,232基の衛星を展開し、地球全体を対象に高速かつ低遅延のブロードバンドサービスを提供するプロジェクトです。
- 1Gbpsを超えるダウンリンク速度(企業向け端末)
- 往復レイテンシ30ミリ秒
- 宇宙間通信は耐障害性のあるメッシュネットワークを構築
宇宙安全対策
また宇宙安全(Space Safety)についての取り組みも発表されていました。
スペースデブリ対策、安全性、日照や天体観測への影響について、具体的に様々な対策が取られています。
- 計画的な廃棄処理:推進装置はミッション終了後1年以内に廃棄
- 衝突回避:20km間隔、9kmの許容範囲、シェル内の分離距離:50km
- 反射率目標:天文学コミュニティが設定した「7等級未満」の基準を達成
ユースケース
具体例
- 工場、インフラ設備などの監視制御システム
- 災害時の緊急通信
- 僻地でのインターネット接続
- 物流や輸送業での通信(海上輸送など)
- ロボット、ドローン、監視カメラのエッジデバイス
- 政府、軍事関係、エンタープライズ、金融サービス、ヘルスケア、エネルギー採掘
物流のAmazonとネットワークインフラのAWSならではの強みを活かした様々なユースケースが想定されています。
当然これらはAmazon単体で考えるものではなく、パートナーやユーザーのニーズにより多くの展開が期待されます。
顧客端末(Customer terminals)
1. 小型端末(7inch)
2. 中型端末(11inch)
3. 大型端末(30inch)
Prometheus(プロメテウス)
- チップ:Amazon独自設計のチップ。
- 統合型チップセット:アンテナと衛星の両方で使用。
- 性能:衛星あたり1 Tbpsを実現可能。
値段はまだ秘密とのことですが、先行のスターリンクにも対抗する必要があるということで、お手軽価格になるかと思いますが、どうでしょう。
プライベート接続プランあり
- 接続プラン:パブリックまたはプライベート
- IPアドレス設定:ネットワーク構成に基づく設定
- ルーティング先の設定:データの送信先を指定
プライベート接続プランはKuiperならではの強みになると思います。
衛星回線を使ってもプライベートでセキュア回線を維持できるのであれば、エンタープライズや公共セクターにも安心して提案できますね。
以上、
1時間、様々な質疑が飛び交い非常に興味深いセッションでした。
2025年中にはサービスがリリースされるとのことのなので発表を楽しみにしたいと思います。
その他メモ
- 参加者からの絶えることのない質問に圧倒された
- ここでは答えられないけどメールでなら回答できるとメールアドレスを公表していたこと
- 日本人は2.3名しかいなかった
- 英語で質問ができるようになりたいと思った
余談:
1、飛行機+スターリンク良いなぁ
ラスベガスから帰りの飛行機はハワイ経由でして、そこまでのハワイアン航空便では Wi-Fi 環境にスターリンクが使えるようになっていました。
https://www.hawaiianairlines.co.jp/press-releases/jp-2024-09-25-starlink
特に料金も必要なく、Wi-Fi をONにするだけですぐに使えます。
スピード、レイテンシともに充分で、快適にPC作業ができます。
2、au +スターリンクも頑張ってるなぁ
2024.10.24 Starlink衛星とauスマートフォンの直接通信実証に成功
https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-299_3556.html
ということで、auもスターリンク社との提携で携帯+衛星通信も熱くなってきています。
「空が見えれば、どこでもつながる」
https://www.au.com/lp/starlink/